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新たな作品の形
2024年1月に、名古屋の丸善で、松浦シオリさんの個展を見ました。はじめ日本画の作品かと思いましたが、フルデジタルで制作されたイラストでした。
私は長く日本画にかかわってきたのでわかるのですが、日本画の定義が話題になる時、素材論と画風論で意見が分かれたり、その両方が備わって日本画だという意見もありますが、こういう作品を見ると、日本画の定義なんてどうでもいい、ただその作品が素晴らしく魅力的かそうでないかが問題であって、ジャンルなんてなんでもいいと思えてくるのです。
松浦さんの作品は、フルデジタルで作成されたものを、紙に必要に応じて印刷したものですから、素材はもちろん日本画のそれではありませんが、上村松園に影響を受けたというように、画風や技法は伝統的な日本画の要素がふんだんに使われていて、まさに日本画というものを記号化して、それを現代のデジタル技術を使って、今に再現して見せたと言えるでしょう。
理屈はさておき、デジタルで描かれていようが、紙に絵の具で手描きされていようが、松浦さんの手描きのオリジナル作品であることに変わりはなく、その技術の確かさと、絵作りのセンスは疑う余地もなく、美しく魅力的です。
モチーフである現代女性と古典技法が見事に融合した、非常に日本的な世界観です。
私は仕事で日本画にかかわっていたことから、ずっと「日本画」というワードに呪縛的に囚われていましたが、仕事をリタイアして、ようやく日本画から解放され、自由の身となった今、自然な形で日本画的なものに魅力を感じ、それを自分の作品に取り入れるというか、自然体で作ったものに、体に染みついた日本画的なものが現れるのは、それを無理に拒む必要もなく、自然体で受け入れればいいと思い始めました。
私が2024年から始めた、カラーの「red line」シリーズは、この松浦さんの作品を見て影響を受けたものです。
私の中から自然に出てきた新たな作品の形ですが、気が付けばそこには日本画的なものがありました。
私も自分のやりたいように、デジタルですが、何ものにもとらわれない自由な作風でやっていこうと思います。
XYZM 2024
無料でできるアート
0円でできるアートをやってます。画材も無料ですし、広告料も無料、発表も無料で、わずかですが販売実績もあります。全くお金をかけずとも、アーティストとして成立しています。もちろんそれで生活はできませんが、プロのアーティストとは、それで食べていける人とは限らないと思います。
XYZM 2024
モノを作らないアート
アートとは何でしょうか。モノを作ることでしょうか。私は紙に絵を描いてそれを発表したり売ることを辞めました。
モノは作ってもいいし、作らなくても構いません。
今私が作っているものは単なるデジタルデータ、デジタルの信号です。それは記号にすぎませんが、まぎれもなく私自身の表現です。
そう、アートとは人生を通して、自分の生き様を通して、自分を表現することです。したがって私が今やっていることはアート以外の何物でもありません。
XYZM 2024
red line シリーズについて
赤い線とはよく運命の赤い糸でつながっていると言われる、あの赤い糸をイメージしています。私は人生を通して、運命の赤い糸でつながった人を見つけることはできませんでした。私の赤い糸は人ではなく、私の作品につながっていたようです。私は結婚もできず、子供も作れませんでしたが、代わりに作品を作りました。私の作品が、私がこの世に生きたことの証明であり、私が死んでからも生き続け、後世に伝わっていくものであってほしいとの思いから、赤い線で描くことを始めました。
XYZM 2024
消しゴムアート
消しゴムをモチーフにするきっかけは、以前に書いたように、たまたま薬局でもらったからにすぎませんが、一応私はそれが消しゴムであるということに、意味を込めています。
消しゴムとは、書いたものを消すことができる道具です。私は自分の過去を消したい。自分が今までやってきたこと、残してきたこと、とにもかくにも私の辛かった思い出、嫌なこと、それらを全部消し去りたいと思いました。
食べ物は私に喜びを与えてくれます。おいしいものを食べることが私の人生の最大の楽しみです。そしてそれは生命をつなぐものでもあります。
食べ物の形をした消しゴムとは、本物ではない偽物の食べ物ですが、私に夢と希望を与えてくれる象徴のような気がしています。
XYZM 2024