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1994年、私はロンドンに留学しました。それまで勤めていた高校の美術教師を辞め、全く知り合いのいないイギリスに渡り、もう一度1から大学に入り、アートを勉強しようと思いました。
仕事を辞めるということは、とても大きな決断でしたが、まだアーティストとして活躍したい
という気持ちが強く、その捨てきれない夢をかなえるための最適な方法がロンドン留学だと思ったのでした。
とにかく安定した生活をかなぐり捨て、私の新たな人生のスタートです。そしてこれが私の第2の青春であり、そして私のアーティスト人生を大きく変える転換点となりました。
ロンドンに滞在したのは4年間、その前に半年、イギリス南部のホーブという町の語学学校に通い英語の勉強をしましたから、トータルの留学期間は4年半ですが、留学をして本当に良かったと思います。
もしイギリスに留学していなかったら、今の私はありません。私の人生は全く違うものになっていました。
ロンドンにいた4年間、私は毎日朝から晩まで制作に励みました。これほどまでに制作に没頭したことは、後にも先にもありません。
でもこのころは制作するのが何よりも楽しかったし、日々、自分の進化を実感できました。私のアーティスト人生の中で、最も充実して制作に没頭した時期だったと言えるでしょう。
ロンドン留学は私にとって、アーティストとして 最大の転機となりました。それは現代美術との出会いでした。
当時私が最も影響を受けたアーティストはソル・ルウィットでした。線と面(形)、有機と無機を対比させ、色彩をなくすことで、できるだけシンプルに描きたかったのです。絵画というよりは、ミニマムなドローイングを描きたいと思いました。
そして次のステージで、私はコンセプチュアルアートに出会い、また新たな作風の転換を迎えるのですが、このミニマムドローイングのシリーズは、それと並行して、ロンドン滞在中ずっと継続していきました。
まずはこちらの抽象作品のシリーズからご紹介します。